研究概要 |
てんかんの診断においては,てんかん性スパイク波と脳血流の関連を探るために,脳波(EEG)と機能的磁気共鳴画像法(fMRI)の同時計測とそのデータ解析の研究が行われている。標準的な解析法は回帰分析に基づくもので, EEGにより検出されたスパイクオンセットを示す矩形波と血流動態応答関数(HRF)の畳み込みにより定義される参照関数を用いる。この方法によりてんかん性異常脳血流を3次元空間に表示してんかん焦点の検出を行うことができる。さらに,焦点間の相互作用あるいはネットワークを推定することも可能である。これらの解析から得られる結果は薬物あるいは外科的療法に有用である。 しかし,解析方法において改良しなければならない点がいくつかある。標準的な解析ではHRFは全ての被験者ならびに脳内の全ての部位で同じものを用いている。従って,参照関数と似たような時間変動を示す活動のみが検出されることになる。 本研究では,参照関数を用いることなくてんかん発作時と間欠期のfMRI信号の動力学的な差異を検出するために,自己回帰モデルに基づくイノベーションアプローチを提案した。さらに,てんかん性異常脳血流の統計的有意差を評価しその結果を解剖学的画像上にマッピングする数理アルゴリズムの構築を行った。
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