研究課題
神経可塑性関連遺伝子Arc(Arg3.1)は、海馬や大脳新皮質において最も高感度に神経活動に応答する遺伝子マーカーの一つであるとともに、その産物はグルタミン酸受容体の動態を制御することによりシナプス可塑性や脳情報プロセスを修飾する因子として注目を集めている。本研究では、このArcの活動依存的発現機構を解析し、シナプスー核シグナルのカップリング機構およびArc発現の生理的意義を明らかにすることを目的とする。本研究による成果はシナプス・神経回路可塑性の分子基盤の理解に大きく貢献することが期待される。平成21年度は、1、ラット・マウス初代培養神経細胞を用いたクロマチンー免疫沈降およびルシフェラーゼレポーターアッセイによりArcプロモーター領域に存在するシナプス活性化応答エレメントSAREに結合する蛋白複合体を解析し、新たに複数のタンパク因子が関与しているという知見を得た。2、Ca^<2+>/CaMキナーゼのシグナリングを薬理学的に検討し、シナプス局所シグナルとシナプスー核シグナルの分離に成功した(Redondo et al., 2010)。3、マウスにおいてインビボイメージングを行い、活動依存的遺伝子発現レポーターの検出感度およびタイムコースを内在性分子マーカー発現のそれと比較・検討を行った。
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Journal of Neuroscience 30
ページ: 4981-4989
細胞工学 28
ページ: 894-899