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2010 年度 実績報告書

セロトニン欠乏モデルマウスを用いた脳内モノアミン調節機構とPTSD発症機序の解析

研究課題

研究課題/領域番号 21500305
研究機関東京工業大学

研究代表者

一瀬 宏  東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (90192492)

研究分担者 徳岡 宏文  東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助教 (10452020)
キーワード脳神経疾患 / 神経科学 / 医療・福祉 / タンパク質 / 生理学
研究概要

本研究で用いているセロトニン欠乏モデルマウスにおける脳内セロトニンの選択的減少のメカニズムについて検討した。本モデルマウスは肝臓でのフェニルアラニン代謝の障害から、マイルドな高フェニルアラニン血症を呈している。そこで、高フェニルアラニン血症による脳内モノアミン量への影響を調べるために、肝臓のフェニルアラニン水酸化酵素遺伝子に変異をもつPah変異マウスの解析を行った。まずPah変異マウスにおける脳内モノアミン量を調べたところ、セロトニン量が野生型マウスに比べて大きく減少していることが判明した。また、ドーパミンやノルアドレナリンも低下傾向を示し、我々が開発したセロトニン欠乏モデルマウスと同様であった。さらに、自治医科大学の久米准教授との共同研究として、遺伝子治療を施して高フェニルアラニン血症を解消したPah変異マウスの脳内モノアミンを分析したところ、未治療のマウスと比べて有意にセロトニン量が増加していることが判明した。フェニルアラニンは、モノアミンの前駆体であるチロシンやトリプトファンと共通のトランスポータを介して脳内へ輸送される。そのため、高フェニルアラニン血症になると高濃度のフェニルアラニンによりチロシンやトリプトファンの脳内への輸送が阻害され、脳内のモノアミン前駆体の濃度が低下する。また、セロトニン合成をつかさどるトリプトファン水酸化酵素は、フェニルアラニンが低親和性の基質となりトリプトファン水酸化酵素の拮抗的阻害剤となることが考えられる。ゆえに、我々のセロトニン欠乏モデルマウスにおいても、脳内セロトニン含量低下の原因として高フェニルアラニン血症が大きく影響していることが示唆された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Partial biopterin deficiency disturbs postnatal development of the dopaminergic system in the brain.2011

    • 著者名/発表者名
      Homma et al.
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 286 ページ: 1445-1452

    • DOI

      10.1074/jbcM110.159426

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Regulation of dopaminergic neural transmission by tyrosine hydroxylase protein at nerve terminals.2010

    • 著者名/発表者名
      Sumi-Ichinose C, et al.
    • 雑誌名

      Journal of Pharmacological Sciences

      巻: 114 ページ: 17-24

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Activation of tyrosine hydroxylase (TH) gene transcription induced by brain-derived neurotrophic factor (BDNF) and its selective inhibition through Ca2+ signals evoked via the N-methyl-D-aspartate (NMDA) receptor.2010

    • 著者名/発表者名
      Fukuchi M, et al.
    • 雑誌名

      Brain Research

      巻: 1366 ページ: 18-26

    • 査読あり
  • [学会発表] ビオプテリンとドーパミン-線条体におけるドーパミンシグナルの調節機構2010

    • 著者名/発表者名
      一瀬宏
    • 学会等名
      第25回日本大脳基底核研究会
    • 発表場所
      福島県福島市
    • 年月日
      2010-07-31

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公開日: 2012-07-19  

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