研究概要 |
新規の脳ペプチド、relaxin-3(RLN3)の生理機能探究のために遺伝子ノックアウト(KO)マウスを作製し一連の行動解析を行った。KO、およびヘテロマウスは野生型とほぼ同じ体重増加を示し寿命も野生型と差がなかった。不安状態検索で、軽度の抗不安様行動を示し、RLN3は情動行動に関与することが示唆された(Watanabe Y et al, Front Behav Neurosci 2011)。またRLN3脳室内投与を行ったラットに摂食亢進作用が見られ、反応するニューロンは、受容体の存在する視床下部室傍核(PVN)にc-Fos発現がみられた。PVNではCRFニューロンにc-Fosが誘導され、脳室内投与後血中ACTHも有意な上昇がみられた。以上よりRLN3はストレス応答の主軸である視床下部-下垂体系のCRF-ACTH反応を活性化させることも明らかになった(Watanabe Y et al, J Mol Neurosci 2011)。このようにRLN3は情動、摂食、ストレスを調節するペプチドであると思われ、さらに精査が望まれる。
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