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2011 年度 実績報告書

発生過程の大脳皮質において、脳室下帯が形成される意義

研究課題

研究課題/領域番号 21500330
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

田畑 秀典  慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80301761)

キーワード神経細胞移動 / 神経回路 / 神経発生 / 大脳皮質
研究概要

我々は、げっ歯類大脳皮質形成後期過程における神経細胞産生過程の詳細な観察から、脳室帯に直接由来する神経細胞は脳室帯の直上にあるmultipolar cell accumulation zone (MAZ)に留まること、一方、脳室帯から移動を開始して、さらに分裂する集団は、MAZを飛び越えて中間帯に広く分布することを明らかにした。前者はslowly exiting population (SEP)、後者はrapidly exiting population (REP)と呼ぶ。本研究課題は、このような両者の細胞運命の違いと、その移動制御機構の解明を目標とした。昨年度までの研究から、REPはその多くが1回だけ分裂し、2つの神経細胞を産生するbasal progenitorであるが、REPには特殊な移動様式をとる細胞が含まれ、これらはグリア前駆細胞であることを明らかにした。本年度はSEP がMAZ内で多極性細胞として留まっている際に見られる活発な突起伸縮に、ラメリポディンが関わることを報告した。ラメリポディンは細胞膜のPI(3,4)P2と結合し、さらに別のドメインでアクチン線維の重合に働くEna/VASPファミリー分子と結合して、その場での局所的なアクチン重合を促進することで、多極性細胞の突起伸展に寄与する。最近、ヒト胎児の脳室下帯で神経幹細胞が観察され、その自己複製を伴う神経産生により脳室下帯が発達し、莫大な神経細胞の産生を可能にしたと報告された。この細胞をoRGと呼ぶ。当初、この細胞はヒトや霊長類特異的とされたが、REPはbasal progenitorとして機能する細胞も含めて、oRGと細胞形態や組織学的配置において類似しており、oRGはマウス等にも存在していたREPが脳室下帯での分裂能を高く維持するようになったために生じたものと考えられた。このモデルは英文総説で報告した。

現在までの達成度 (区分)
理由

23年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

23年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2013 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Robo1 regulates the migration and laminar distribution of upper-layer pyramidal neurons of the cerebral cortex2013

    • 著者名/発表者名
      Yuko Gonda
    • 雑誌名

      Cereb. Cortex

      巻: 未定 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 大脳皮質発生過程における脳室下帯分裂細胞の動態解析2013

    • 著者名/発表者名
      田畑秀典
    • 雑誌名

      日本神経精神薬理学雑誌

      巻: 未定 ページ: 印刷中

  • [雑誌論文] 子宮内電気穿孔法により見えて来た大脳皮質形成のメカニズム2013

    • 著者名/発表者名
      田畑秀典
    • 雑誌名

      神経化学

      巻: 52 ページ: 22-30

  • [雑誌論文] A phosphatidylinositol lipids system, Lamellipodin and Ena/VASP regulate dynamic morphology of multipolar migrating cells in the developing cerebral cortex2012

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Yoshinaga
    • 雑誌名

      J. Neurosci.

      巻: 32 ページ: 11643-11656

    • DOI

      10.1523/JNEUROSCI.0738-12.2012

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cytoarchitecture of mouse and human subventricular zone in developing cerebral neocortex2012

    • 著者名/発表者名
      Hidenori Tabata
    • 雑誌名

      Exp. Brain Res.

      巻: 216 ページ: 161-168

    • DOI

      10.1007/s00221-011-2933-3

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Segregation and pathfinding of callosal axons through EphA3 signaling2011

    • 著者名/発表者名
      Mitsuaki Nishikimi
    • 雑誌名

      J. Neurosci.

      巻: 31 ページ: 16251-16260

    • DOI

      10.1523/JNEUROSCI.3303-11.2011

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Neural crest-derived stem cells migrate and differentiate into cardiomyocytes after myocardial infarction2011

    • 著者名/発表者名
      Yuichi Tamura
    • 雑誌名

      Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol.

      巻: 31 ページ: 582-589

    • DOI

      10.1161/ATVBAHA.110.214726

    • 査読あり
  • [学会発表] マウス大脳皮質発生過程における脳室下帯分裂細胞の産生と維持の調節2012

    • 著者名/発表者名
      田畑秀典
    • 学会等名
      第35回日本神経科学大会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20120918-20120921
  • [学会発表] 霊長類進化過程で大脳皮質発達に寄与した遺伝子の機能的、生物情報科学的探索2011

    • 著者名/発表者名
      田畑秀典
    • 学会等名
      第34回日本神経科学大会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      20110914-20110917
  • [学会発表] 大脳皮質発生過程における脳室下帯分裂細胞の動態解析

    • 著者名/発表者名
      田畑秀典
    • 学会等名
      脳の医学・生物学研究会
    • 発表場所
      名古屋
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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