研究課題/領域番号 |
21500336
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊東 秀文 京都大学, 医学研究科, 講師 (20250061)
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研究分担者 |
高橋 良輔 京都大学, 医学研究科, 教授 (90216771)
河本 恭裕 京都大学, 医学研究科, 非常勤講師 (40335253)
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キーワード | HtrA2 / ノックアウトマウス / Parkinson's disease |
研究概要 |
当該年度においてわれわれはHtrA2ノックアウトマウスにおける経時的な神経細胞脱落の評価・POLG蓄積部位の検討・大脳基底核マーカーの局在の検討、および、アルツハイマー病におけるHtrA2の分布の検討を行った。HtrA2ノックアウトマウスは生後1ヶ月で死亡するため、生後10日、20日、およひ30日齢において、エーテルによる深麻酔下に断頭して採取した新鮮脳組織、およびパラホルムアルデヒドにて灌流固定した脳組織から、前頭葉・海馬・線条体・視床・中脳を切り出し、7μm厚の切片を作成して、H & E、K-B、Bielschowsky染色、および、GFAP、Iba-1、CD68に対する免疫組織化学染色を施行した。その結果、このマウスでは生後10日目からすでに線条体ニューロンの著明な脱落が認められた。その他の部位の変性については現在検討中である。 また、われわれはPOLGに対する免疫組織化学染色を行ったが、残念ながら有意な免疫反応は認められなかった。この結果はPOLGの異當蓄積が認められないことを意味するわけではなく、抗体の感度に問題があると考えられた。 一方、HtrA2ノックアウトマウスにおける太脳基底核回路の断裂を検討するため、線条体・淡蒼球を含む切片において、DAT、calcineurin、calbindin、met-enkephalin、substance Pに対する抗体を用いた免疫染色を行った。その結果、HtrA2ノックアウトマウスの基底核ではこれらのマーカーがすべて著明に脱落していた。この結果は、このマウスでは線条体の中型有棘細胞が脱落していることを示唆している。 さらにわれわれは生化学的解析によって、HtrA2ノックアウトマウスの脳においてはユビキチンリガーゼParkinの発現低下が生じていることを明らかにした。 最後にわれわれは、アルツハイマー病においてHtrA2免役組織化学を行い、アルツハイマー病の特徴的病理所見である老人斑と神経原線維変化にHtrA2免疫化学反応が見られることを見出し、アルツハイマー病の病因にKtrA2が関与している可能性を指摘する論文発表を行った。
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