研究課題
目的:愛知医科大学加齢医科学研究所の筋萎縮性側索硬化症(ALS)と前頭側頭葉変性症(FTLD)の連続剖検例にTDP-43免疫染色を施行し、封入体のサブタイプ、臨床病理像との相関を検討した。結果:2011年は8例を解析した。臨床診断は孤発性ALS7例、FTLD1例、ALSの平均死亡時年齢は71歳(65~76歳)、男女比は7:0、ALS7例中6例はTDP-43 proteinopathyを示した。6例のALSはほぼ運動ニューロン系に限局した変性を認めたが、1例にはパーキンソン病の合併を認めた。6例の脊髄前角細胞には全例でBunina小体、skein-like inclusions, round inclusionを認めた。大脳皮質には辺縁系を含めてTDP-43陽性構造物の優位な出現は乏しかった。1例は、家族歴は確認されていないが遺伝子診断でSOD1の遺伝子異常が確認され、病理学的にTDP-43 proteinopathyはみられなかった。FTLDの1例は、病理学的に前頭側頭葉の変性、多数のNCIと短いdystrophic neurites、核内封入体を伴うTDP-43 proteinopathyを認めFTLD-TDP typeAと診断された。考察と結論:TDP-43 proteinopathyを示すALS~FTLDは8例中7例88%、ALS7例中6例はTDP-43 proteinopathyを示す孤発性ALSであった。FTLD-TDP例は前頭側頭型認知症の臨床像を呈し、臨床的には運動ニューロン障害はみられず、病理学的には脊髄は採取されていないが舌下神経核の変性、延髄錐体の変性はみられなかった。TDP-43 proteinopathyに占める運動ニューロン疾患の頻度はきわめて高いが、FTLD-TDP typeAでは下位運動ニューロンの変性が乏しい可能性が示唆された。
すべて 2011
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