アルツハイマー病においては、アミロイドβタンパク質(Aβ)のC末端側を切断しAβ40とAβ42を切り分けて産生する酵素であるγセクレターゼの活性を制御することは、重要な治療戦略となり得る。本研究では、γセクレターゼのAβ分子種切断制御因子を探索するために、ラフト画分より活性型γセクレターゼを精製して解析を行った。 1.PEN2抗体の作成:合成ペプチドを抗原としてPEN2に対する抗体を作成した。ウサギ2匹の抗血清からアフィニティーカラムを用いて抗体を精製しWestern blotと免疫沈降法により検討した結果、2匹の内の1匹の抗体が使用可能であることが分かった。 2.活性型γセクレターゼを保持するラフト画分の調製:培養細胞から膜画分を調製し、ショ糖密度勾配遠心法によりラフト画分を調製した。この画分には既知の4つのγセクレターゼ複合体構成因子が含まれており、37℃でインキュベートすることによりγセクレターゼ依存的にAβが産生された。以上より、この画分には活性型γセクレターゼが含まれることが確認できた。 3.架橋剤処理:細胞を直接あるいは膜画分調製後に、ホルマリン、DSPなどの架橋剤で処理し、ラフト画分を調製した。そして、この膜画分を可溶化後にγセクレターゼ複合体を免疫沈降した。Western blotによりγセクレターゼ構成因子が含まれていることを確認できたが、タンパク質染色により明確なバンドが検出できなかったので、さらに検討を行っている。
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