研究概要 |
(1)浸透圧性脱髄症候群(ODS)ラットモデルの作成と脳切片標本の作製 ODSモデルにおいて血清Naの急速補正後神経症状を観察・評価し補正1-2日後の脱髄早期、補正4-5日後の脱髄後期のそれぞれの脳を摘出し、脳切片標本を作製した。 (2)病理解析装置連動型レーザーマイクロダイセクションシステムを用いた目的の細胞の採取 脱髄早期・後期と経時的に、かつ脱髄部・非脱髄部という領域別に、ミクログリアのマーカーである抗ED1抗体を用いた免疫染色によって病理学的に解析・分別されたミクログリアをレーザーマイクロダイセクションシステムを用いて採取することに成功した。 (3)遺伝子解析 (2)の方法で採取した各々のミクログリアよりRNAを抽出し、定量的RT-PCR法によってIFN-γ, TNF-α, IL-1β, 及びiNOSなどの各種炎症性サイトカインやLIF, ciliary neurotrophic factor (CNTF), brain-derived neurotrophic factor (BDNF), nerve growth factor (NGF), glial cell line-derived neurotrophic factor (GDNF), neurotrophin-3(NT-3)などの神経栄養因子の遺伝子発現を解析した。興味深いことに、脱髄部位を含む全脳の脳切片から抽出したRNAを用いた結果と一部異なった結果が得られミクログリア特異的な遺伝子発現プロファイルを得ることができた。さらに脱髄部と非脱髄部とのミクログリアでは異なった遺伝子発現が認められ、より詳細な病態との関与を示唆する結果が得られた。 (4)蛋白発現解析 (3)で遺伝子発現が認められた因子の蛋白発現を免疫組織細胞化学法を用い共焦点レーザー顕微鏡による観察し、ミクログリア特異的な蛋白発現を確認中である。
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