GABAはラット副腎髄質(AM)細胞の34%においてGABA_A受容体を介してCl電流を誘発したが、モルモットAM細胞においては調べたすべての細胞において電流を誘発した。モルモットAM細胞におけるGABAの誘発電流のピーク値の用量反応関係は、Hill係数1.43、EC_<50>32.3μMのHill式で近似できた。内因性neurosteroidの一つであるallopregnanolone(allo)0.1μMの投与は、このGABA用量反応曲線を最大値及びHill係数を変えることなく左方に並行移動させ、EC50を約1/20に小さくさせた。allo存在下では0.1μM GABAでも電流が誘発されるようになった。さらに、alloはGABA誘発性電流の脱活性化過程を有意に遷延させた。δサブユニットを含むGABA_A受容体の選択的アゴニストであるTHIP10μMは、allo非存在下では全く電流を誘発しなかったが、allo存在下では10μM GABA誘発性電流の70%の電流を誘発した。Znイオンは10μM GABA誘発性電流を濃度依存的に抑制し、そのIC_<50>は19μMであった。一方、一般的にδ含有GABA_A受容体の機能を促進すると言われているエタノール60mMは、10μMGABA誘発性電流に対して全く影響を及ぼさなかった。副腎皮質からneurosteroidが分泌されることを考えると、上述の結果はGABAが十分にAM細胞においてparacrineとして機能し得ることを示している。さらに、このparacrineの機能の一部はδ含有GABA_A受容体が関与していることが考えられる。
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