これまでの研究によりモルモット副腎髄質(AM)細胞におけるGABA誘発性電流の性質は、必ずしもδ含有GABA_A受容体のものとは一致しなかった。そこで、さらにその薬理学的性質を検討した。GABA誘発性電流は10μMLaイオンにより全く影響を受けず、100μMlaイオンによりその電流は約40%増加した。0.3μMflunitrazepamは10μMGABAによる電流を400%増加させた。内因性neurosteroidの1つであるallopregnanolone(Allo)は0.01μMで有意にGABA誘発性電流を増加させた。(1)GABA誘発電流の用量反応関係のEC_<50>は32.3μMであること、(2)flunitrazepamにより著明に促進されるが、ethanolによる促進がないこと、(3)低濃度のAlloにより促進されること、(4)Zaイオンにより用量依存的に抑制されるが、Laイオンはかえって促進作用を持つこと、これらの4つの性質は、モルモットAM細胞のGABA_A受容体のおもなサブユニット構成が、ラットAM細胞で考えられた構成とは異なり、δを含まないαβγの可能性がもっとも高いことを示している。特に、flunitrazepamによる著明な促進と32μMのEC_<50>の値は、αの主なisoformは、α1でなく、α3であることを示唆する。GABA誘発性電流は、すべてのモルモットAM細胞で観察され、誘発される電流の大きさもラットAM細胞のものより著明に大きかった。このことはモルモットAM細胞でのGABAA受容体の発現がラットに比べて多いことを示している。そこで、AM細胞由来のPC12細胞を種々の条件で培養して、GABA_A受容体サブユニットの発現の変化をイムノブロットにより検討した。α1及びα3サブユニットの発現量は、NGFやdexamethasone存在下で1週間培養しても変化しなかった。
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