研究概要 |
ケイジドグルタミン酸の2光子励起光分解による局所グルタミン酸投与をin vivoに適用し、それを応用する方法の開発を行うことが本研究の目的である。 本年度は、この方法論開発の内容を論文発表と学会発表で報告した。さらに以下のテーマについて解析を行った。 テーマ3グルタミン酸uncagingによるシナプス可塑性のin vivo誘導 樹状突起スパイン体積増大の誘導を様々な方法(theta stimulation, High-K depotentiation, neuromodulators, etc.)で試みたが、現在までに確実に任意のスパインに体積増大を生じさせる条件を見出だすことはできなかった。 一方、本テーマで見出した「in vivo(生体)マウス大脳新皮質錐体細胞樹状突起スパインの収縮」現象のメカニズム解明のため、一旦培養脳スライスの系に立ち戻り解析を行った(テーマ7)。我々はcofilinタンパク質をパッチピペット等を用いて細胞に注入するとスパインが収縮することを見出し、このタンパク質がスパインの収縮と深く関係しているとみて解析を進めた。 テーマ4脳インターフェースデバイスを用いた樹状突起長期観察. 東京大学工学部一木研究室と共同開発したデバイスを用いることにより、数日から1週間にわたって薬剤を一定濃度投与した条件下で、大脳皮質樹状突起スパインの変化を経時観察したNMDA型グルタミン酸受容体阻害剤存在下やEnriched Environment(EE)等でスパイン新生率あるいはスパイン消滅率が人工脳脊髄液を潅流したときと異なることを見出した。現在データ数をさらに増やして確認を得ているところである。
|