研究課題/領域番号 |
21500370
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
熊本 栄一 佐賀大学, 医学部, 教授 (60136603)
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研究分担者 |
藤田 亜美 佐賀大学, 医学部, 准教授 (70336139)
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キーワード | ガラニン / 脊髄後角 / パッチクランプ法 / ラット / 痛覚情報伝達 / 興奮性シナプス伝達 / 抑制性シナプス伝達 / ガラニン受容体 |
研究概要 |
脊髄後角の痛み伝達制御におけるガラニンの役割を知るために、成熟ラット脊髄薄切片の後角第II層(膠様質)ニューロンにブラインド・ホールセル・パッチクランプ法を適用して、ガラニンがシナプス伝達に及ぼす作用を調べた。低濃度のガラニンは自発性EPSCの振幅を変えずに発生頻度を増加させる一方(EC_50=0.0029μM)、高濃度のガラニンは-70mVで外向き膜電流を誘起した(EC_50=0.044μM)。これらの作用はNa^+チャネル阻害薬テトロドトキシンにより影響を受けず、前者の作用はガラニン受容体(GalR)-2/3作動薬galanin 2-11により、後者の作用はGalR-1作動薬M617により特異的に見られた。この自発性EPSC発生頻度増加は無Ca^<2+>液中や電位依存性Ca^<2+>チャネル阻害剤La^<3+>存在下で見られなかった。ガラニンはGABAおよびグリシンを介する自発性抑制性シナプス伝達には作用しなかった。 以上より、ガラニンは低濃度でGalR-2/3を活性化して細胞外から細胞内へのCa^<2+>流入量を増加させてグルタミン酸放出を促進する一方、高濃度でシナプス後細胞のGalR-1を活性化して膜過分極を起こすことが明らかになった。ガラニンは膠様質ニューロンの膜興奮性を低濃度で増加、高濃度で減少させることが示唆される。この結果は、ガラニンが濃度に依存して痛み行動を二相性に制御するという報告と一致する。
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