研究課題
神経活動は神経新生、分化、可塑性、生存、アポトーシスの制御などの神経細胞の発達と生死の制御に深く関わっている。これらの制御機構の破綻が鬱病、自閉症などの精神神経疾患や、認知症などの神経変性疾患の一原因であると考えられている。本研究では、これらの生命現象や疾患の基礎課程の理解を目的として、神経活動による生存促進に強く相関して発現が誘導され、かつ神経細胞のアポトーシス抑制活性を持つ遺伝子であるAlivin1とそのパラログ遺伝子であるAlivin2、Alivin3についてそれぞれノックアウト(KO)マウスを作製し、これらの遺伝子の機能を個体レベルで解析することを目指す。本年度は以下の研究を行った。1)Alivin3 KOマウスの作製RENKA株を用いてAlivin3のターゲティングを行い、組換えES細胞を得た。アグリゲーション法を用いてキメラを作製し、2ラインの組換えES株が生殖系列に移行したことを確認した。2)Alivin1、2、3トリプルKOマウスの作出昨年度までに作製したAlivin1,2KOマウスのコンジェニック化とAlivin1、2、3のトリプルKOマウスの作出、および表現型の解析を行っている。3)抗ALIVIN1抗体の作製の試みALIVIN1の個体内の局在を評価するために特異抗体の作製を試みている。昨年度までに3種類の合成ペプチドを用いてウサギに免疫し、抗ALIVIN1ペプチド抗体を作製したが、特異性の高い抗体が得ることができなかった。そこで、本年度はAlivin1 KOマウスを用いて抗ALIVIN1抗体の作製することを試みた。バクテリアで発現させたマウスALIVIN1の細胞外ドメインタンパク質を、BALB/c backgroundのAlivin1 KOマウスに免疫して抗体を得た。得られた抗体はバクテリアで発現させたALIVIN1タンパク質と特異的に強く反応したが、マウス個体のALIVIN1タンパク質とは反応しなかった。この原因として翻訳後の修飾がエピトープの認識に強く関与している可能性が考えられた。
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Neurosci Res 65
ページ: S228-S228
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