研究課題/領域番号 |
21500400
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
近藤 英司 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (60374724)
|
研究分担者 |
安田 和則 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20166507)
小野寺 伸 北海道大学, 大学院・医学研究科, 客員准教授 (00359481)
北村 信人 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (80447044)
|
研究期間 (年度) |
2009 – 2011
|
キーワード | 生体制御 / 治療 / 靱帯 / 腱組織 / 液性因子 |
研究概要 |
Ex vivoにおいてTGF-betalを加えた培地で培養した滑膜由来幹細胞を成羊前十字靱帯(ACL)再建モデルの移植腱周囲に投与(細胞療法)し、それがin vivoで移植腱のマトリクス再構築現象へ与える効果を明らかにした。 (方法)研究には成羊雌サフォーク種50頭を用いた。右膝に対してACL再建を行い、10頭ずつ以下の5群に分けた。I群では何も投与しなかった。II群では、移植腱にfibrinを投与した。III群では、左膝から採取した滑膜細胞を2週間培養して、5x10^7個の滑膜由来幹細胞を含むfibrin sheetを作製し移植腱に投与した。IV群では、上述のfibrin sheetにTGF-betal(10ng/ml)を投与し、その24時間後に移植腱に投与した。V群では、TGF-betal 20ngをfibrinと混合し移植腱に投与した。各群とも術後12週に各10頭を屠殺して、7頭を力学的評価に、3頭を組織学的観察に供した。 (結果)1)膝前後動揺性と断面積:5群間に有意差はなかった。2)最大破断荷重と線形剛性:IV群とV群は、I群、II群、およびIII群に比べて有意に高値を示した(p<0.05)。IV群とV群の間に有意差はなかった。3)組織所見:IおよびII群では移植腱に無細胞領域が観察された。III群、IV群およびV群では細胞が腱深層まで浸潤しており、正常に近い膠原線維の配向を示した。 (考察)本研究はTGF-betal処理培養自家滑膜由来幹細胞が移植腱の力学的劣化を抑制することを明らかにした。この結果は、「成長因子をEx vivoで与えた細胞」を用いる細胞療法が、他の関節構成体に有害な効果を与えない移植腱の力学的劣化抑制方法として有望である可能性を示した。
|