研究概要 |
低電圧パルスエレクトロポレーションによるアポトーシス誘導メカニズムの解析の一環として、平成21年度は、電圧・時間・波形の異なる様々な電気パルスによるアポトーシス誘導閾値の検定を行ったほか、アポトーシス誘導効率の比較検討を行った。 計画通りアポトーシスの測定にはアネキシンV-7AADを用い、フローサイトメトリーを用いて個々の細胞および集団を詳細に検討した。その結果、7.5V/mmの電界強度の方形波において、10倍のパルス作用時間(1s)にすることにより、40分の1の供与パルス数(5発)すなわち供与電気量としては約1/4で7.5V/mm,10ms,200発の電気刺激を与えた時と同程度のアポトーシスの誘導が可能であることが分かった。しかしながら、長作用時間パルスは細胞のviabilityを低下させることも分かった。さらに約半分の低電界強度でもアポトーシスの誘導が可能であることも分かった。波形に関しては、二相性のものでアポトーシス誘導能が高かった。 一方、画像形態解析としては、電気刺激による細胞の形態変化を顕微鏡画像で捉えることができた。その結果,細胞の腫大・破裂、膜のblebbingやcircus movementなどが観察された。 実験は予定通り順調に推移しており、一部はカスパーゼ活性経路の解明へと進めている。尚、本年度の具体的成果は、oncology reportsに投稿、既に査読を終え、2010年中に出版される事が決定している。 以上、実験は当初の予定通り比較的順調に進行しているものと考えられる。また、論文掲載も決定した点は当初の予定以上の成果であった。
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