研究課題
【目的】磁場を用いた新規治療システムを構築するため、本年度は、(1)ウロコの培養系(in vitro)を用いて、変動磁場による骨芽細胞及び破骨細胞に対する作用を解析し、さらに(2)生体(in vivo)新規骨形成モデルシステムの開発を行った。【研究成果】本年度の研究成果の詳細を以下に示す。1)3mTの磁場により、ウロコの破骨細胞の活性が有意に低下した。また、細胞の活性と同様に培地中のTRAP活性もコントロールに比べて有意に低下していた。一方、ウロコの骨芽細胞の活性は変化しなかったが、培養液中のALP活性が、コントロールと比較して上昇していた。したがって、3mTの磁場刺激でも骨形成が進行中であると推測される。また5mTでも3mTと同様な変化がみられた。2)10及び30mTでは、骨芽細胞の活性が上昇し、それに伴い破骨細胞の活性も上昇していた。これら2種類の細胞は、密接に連絡しており、骨芽細胞で発現しているリガンドであるReceptor Activator of NF-κB Ligand(RANKL)と破骨細胞にあるレセプターであるReceptor Activator of NF-κB(RANK)が結合することにより、破骨細胞が活性化し、多核の活性型の破骨細胞に分化する。したがって、10及び30mTで24時間曝露することにより、骨芽細胞が活性化し、RANK-RANKLを通して破骨細胞も活性化された可能性が高い。今後、RANK及びRANKL mRNAの発現を解析する予定である。3)キンギョのウロコの再生を解析した結果、水温27℃で10日間飼育すれば、ウロコの石灰化が進行し、骨として解析可能なウロコが作られることが判明した。そこで、まず3mTの磁場を10日間照射し、その期間で再生されるウロコに対する影響を解析した。その結果、3mTの磁場照射により再生ウロコの骨芽細胞の活性と破骨細胞の活性が共に上昇することが判明した。来年度は、再生ウロコの面積やCa量を測定すると共に最適な磁場強度を解析する予定である。
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