本研究は、電極が取り付けられた容器に食塩水を満たし、その中に測定体を挿入して、磁界による渦電流と定電流との重畳による測定電流の分布を制御することで、測定体の抵抗率分布を推定し、その画像化を試みている。 今年度はX-Y方向の2次元インピーダンス画像の鮮明化と、z軸方向も取り入れた3次元のインピーダンス画像化を具体的目的としている。そのために、測定体のエッジ情報の利用と食塩水の抵抗率の決定方法について、モデル実験を中心に検証した。その結果、測定体のエッジ情報の使用により、測定体内部のより鮮明な画像が得られることが確認された。また、食塩水の抵抗率を測定体に近い値にすることで、画像の鮮明化につながることが示唆された。3次元の画像化については、Z軸方向の分解能を上げることを目的に、2つの測定電極の外側に補助電極を設置することの有効性について調べた。その結果、補助電極の装着部が等電位になるため、測定部位の電流分布が平行になり、Z軸方向の分解能がより向上することが確認された。 また、本法の実用化のひとつとして、生体の片面に測定用の電極及び電磁石を取り付けることで、生体の深部方向(z軸方向)のインピーダンス計測の可能性について調べた。具体的には、2つの電流成分の位相と強度を調節して、表面では定電流成分と渦電住成分が打ち消し合い、深部で強め合うようにする方法と、その状態で、各成分の強度は変えず位相を反転させ、生体の表面に電流を集める方法を検討した。結果として、深部の電流を強める方法は、体表面に装着された電極では深部情報は検出が困難であった。これに対し、表面に電流を集める方法では、それによって得られる表面に近い部位の情報と、定電流成分のみで測定される情報から、深部の情報を推定できることが確認された。
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