研究概要 |
足部疾患に対する3次元動態解析法を確立することを目的とした,CT撮像が可能な荷車シミュレーターを作製し,その精度および再現性が高いことをはじめに報告した.本荷重装置を用いて,扁平足における脛骨および足根骨(距骨、踵骨、舟状骨、襖状骨、第一中足骨)の荷重応答に関する研究を行った.健常ボランティアおよび扁平足を有する患者における荷重前後の足部CTを撮像し,足根骨の3次元立体再構築画像を作製し,3軸(XYZ)における荷重前後での骨回転量および移動量を計測した.健常足に比べ,扁平足におけるすべての関節で総回転量は有意に大きくなり,それは距舟関節>距踵関節>距腿関節>第一足根中足関節>楔舟関節の順であった.矢状面において,扁平足では距踵関節,第一足根中足関節および楔舟関節で有意に背屈し,距腿関節で有意に底屈した,冠状面においては,距舟関節および距踵関節で有意に外反した.水平面では明らかな有意差を認めなかった. 非生理的な荷重方法であるという問題点はあるものの,本結果はこれまでの屍体足による研究結果とよく合致した.これまで不明であった扁平足の病態メカニズム解明に大きく貢献できる可能性があり,世界初の生体足を用いた足根骨の3次元的荷重応答研究として国内外で高く評価された.現在,関節リウマチ患者や他の足部疾患の足部不安定症に関する研究も進行しており,われわれは本法を整形外科領域におけるバイオメカニクス研究に貴重な解析方法として確立してきている.
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