研究課題/領域番号 |
21500412
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
藤原 浩芳 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (90381962)
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研究分担者 |
西 真弓 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40295639)
小田 良 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (80516469)
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キーワード | グルココルチコイド / 末梢神経 / イメージング |
研究概要 |
本研究の目的は、末梢神経再生現象および関連する分子メカニズムを可視化することで、新たな再生評価法を検討することである。さらに、ステロイドホルモンの一つであるグルココルチコイドの神経再生における役割を解明することで、神経再生への新たな薬物治療としての応用を検討することである。グルココルチコイドはグルココルチコイド受容体(GR)を介して、様々な生理作用を発揮する。In votroの研究で、GRがシュワン細胞に存在し、髄鞘形成に関与していることが知られているが、in vivoでのシュワン細胞におけるGRの機能については明らかでない。そこで、末梢神経損傷後の再生におけるグルココルチコイドの効果を検討した。(1)GRの発現動態:6週齢SDラットの坐骨神経を、5分間結紮し圧挫損傷モデルを作製した。損傷後経時的に坐骨神経を摘出し、シュワン細胞におけるGRの発現動態を免疫組織化学的に観察した。(2)内因性グルココルチコイドの機能解明:両側副腎を摘出した後(ADX)、コルチコステロンCORT(1mg/kg)を毎日腹腔内投与した。上記と同様に坐骨神経圧挫損傷モデルを作成し、神経再生効果を検討した。まず、損傷3週目にMBP(myelin basic protein)の発現をWestern blottingで解析し、損傷4週目に半薄切片による形態学的評価を行った。【結果】(1)免疫組織化学染色 GRはシュワン細胞に発現し、損傷後もシュワン細胞に発現していた。(2)1.Western blotting損傷後3週目において、ADX群に比べ、CORT投与群で有意にMBPの発現が上昇していた(p<0.05)。2.形態学的検討損傷後4週目において、ADX群に比べ、CORT投与群で有意に良好な髄鞘形成を認めた(p<0.05)。免疫組織化学的検討から、in vivoにおいてもGRがシュワン細胞に存在し、生理機能を担っていることが示唆された。さらに、副腎摘出モデルを用いた解析から、内因性のグルココルチコイドが、末梢神経再生過程における髄鞘形成に重要な作用を有することが示唆された。
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