研究概要 |
各脂肪酸成分の磁気共鳴パラメータの温度依存性解明について,摘出脂肪(ウシ・ブタ)ならびに植物油(オリーブオイル)の脂肪酸成分の縦及び横緩和時間(T1及びT2)を11TのNMR分光器により詳細に検討した.この結果メチレン基及びメチル基のプロトンにおいてT1・T2共に脂肪の種類によらず高い相関係数で温度に比例することがわかった.例えばメチレン及びメチル基のT1の温度係数は各試料に対して1.52~1.76%/℃及び2.36~3.19%/℃であった.ある脂肪酸成分比を持つ試料における温度特性を使って,別の成分比を持つ試料の温度を推定した場合にどのような誤差(系統誤差)が生じるかを数値シミュレーションにより検討した.水とメチレン基だけを成分と考えて温度較正した場合に,メチレン基の30%に相当するメチル基プロトンが存在すると2.5℃程度の温度推定誤差が生じることが明らかになった.さらに水・脂肪酸成分分離ならびに特定成分パラメータからの脂肪温度の推定については,多点ディクソン法と多フリップアングル法を組み合わせた新しい温度撮像法を提案し,メチレン及びメチル基のT1から温度分布を画像化することに成功した.本法は特許出願に至った.
|