研究課題
本研究は、高い空間分解能での撮像が可能な高磁場MRI技術を用いて、細胞膜の電圧作動性Ca2+チャネルを通過する機能性マンガン(Mn)造影剤を利用した「マンガン増感によるMR細胞・分子イメージング」を実用化し、(1)高速定量画像法の開発による胎生期神経障害への適用、(2)Mn徐放剤の開発によるMnSOD(Super Oxide Dismutase)過剰発現腫瘍への適用、および(3)Mn細胞標識法の最適化による移植細胞追跡という3つの研究分野に対して、具体的なin vivoでの病態適用を通して、その有用性と更なる拡張性を提示するものである。初年度は、次の3項目について取り組んだ。(1)新生児脳神経変性疾患モデルの確立、(2)腫瘍細胞におけるMn蓄積量の定量評価法の確立および徐放剤の開発、(3)細胞種における標識法の最適化と排出メカニズムの検討。項目(1)に関しては、母体の放射線被曝を想定した放射線照射による水頭症モデルの作成を行った。項目(2)に関しては、短時間のMRI計測では困難であったプロトン縦緩和時間(T1)を定量的に評価する為に、高速T1定量マッピング法を開発した。また、各種癌細胞のセルラインを用いてin vitroにて、Mn標識後の取り込み濃度の緩和時間計測、および静脈投与後に一定の血中濃度で長時間維持可能な徐放剤を開発した。高速T1定量マッピング法については、シンガポール分子イメージング共同体のChuang K.C.博士らと共同で開発した。また、徐放剤の開発は、田畑泰彦教授(京都大学・再生医科学研)が合成を担当、デキストランを主成分とした材料にて開発した。項目(3)に関しては、細胞標識に使用するリンパ球・単核球に対して、Mnの取り込み速度(一定の濃度に達するまでの時間)を比較し、T1緩和能およびT1強調画像法におけるコントラストの比較を実施した。
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