研究課題/領域番号 |
21500422
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
三好 浩稔 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (70292547)
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研究分担者 |
大根田 修 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (30311872)
大川 敬子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (30251052)
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キーワード | 造血幹細胞 / ストローマ細胞 / 胎仔肝臓細胞 / 固定 / 凍結保存 / 分化・増殖 / 三次元培養 / ティッシュ・エンジニアリング |
研究概要 |
本研究では、生体外において造血系細胞を効率的に増幅できる培養系を確立することを目的として、三次元固定処理したストローマ細胞を用いて造血前駆・幹細胞の増幅実験を行った。この時、固定方法(アルデヒド固定、有機溶媒固定)や固定剤の除去方法が造血系細胞の増幅率におよぼす影響について検討した。 実験では、ストローマ細胞(DAS 104-8B細胞株)を三次元培養担体(polyvinyl formal樹脂多孔質体)に播種して培養したのち、固定剤(グルタールアルデヒド、アセトン、またはメタノール)を用いてストローマ細胞を担体ごと固定処理した(三次元固定処理)。これらの細胞を含んだ担体を洗浄したのち、マウス胎仔肝臓細胞を担体に播種することで、三次元固定処理したストローマ細胞上で胎仔肝臓細胞中の造血系細胞を増幅した。 胎仔肝臓細胞を播種して2週間後に、造血前駆細胞(c-kit陽性細胞)と造血前駆・幹細胞(CD34陽性細胞)の増幅率を測定した結果、グルタールアルデヒドで固定した場合のこれらの細胞の増幅率は4倍程度であった。一方、有機溶媒を用いた場合には、増幅率はメタノール固定で約7倍、またアセトン固定で約15倍であったことから、アルデヒド固定よりも高い増幅率が得られた。なお、メタノール固定実験において、脱気と洗浄の2通りの方法て固定剤を除去したところ、除去方法の違いが増幅率に及ぼす明確な違いは認められなかった。 以上の結果から、ストローマ細胞の固定剤として、アルデヒド架橋よりも有機溶媒(アセトン、メタノール)の方が造血系細胞の増幅に適していることがわかった。ただし、これらの溶媒は毒性が高いことから、低毒性の有機溶媒(エタノールなど)を用いた固定法についても今後検討する必要がある。
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