| 研究概要 |
本研究では,好アルカリ性細菌J813株が生産するキチナーゼ(ChiJ)に含まれるフィブロネクチンタイプIII様ドメイン(FnIIID)やキチン結合ドメイン(ChBD)といった付加ドメインを用い,キチンを基盤とする新規細胞培養用人工マトリックスの創製を目指す。平成21年度は,FnIIID/ChBD領域ないしChBD領域に対してRGD配列を導入し,インテグリンとの相互作用を調べることとした。すでに構築しているFnIIID/ChBDおよびChBD遺伝子の高効率発現系を用い,RGD配列を付加したFnIIID/ChBDおよびChBDの組換えタンパク質を調製した。その際,RGD配列の導入部位はFnIIID/ChBDないしChBDのN末端あるいはC末端,さらにはFnIIIDの内部とし,それらを適宜組み合わせて導入した各種組換えタンパク質も調製した。大腸菌が生産した各種組換えタンパク質の精製を行い,キチンへの結合能ならびにインテグリンとの相互作用を調べた。その結果,いずれの組換えタンパク質もキチンへの結合能を有し,またRGD配列を導入した組換えタンパク質はインテグリンと相互作用することが明らかとなった。また,RGD配列を付加したFnIIID/ChBDおよびChBD組換えタンパク質を培養フラスコ底部に固定化した後,モデル細胞のマウスフィブロブラストを播種した結果,当該細胞が周囲に足を伸展した形で接着することが示された。
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