GATA-3Tgマウスを用いた金属アレルギーモデル(ニッケル誘導接触皮膚炎)においてTh2型CD4陽性細胞が金属アレルギー(ニッケル誘導接触皮膚炎)の病態形成の憎悪に関与していることを示すと共にNi-Ti合金への異なる酸素拡散処理によるアレルギー誘導(耳介助腫脹反応)能について検討を加えた。1. GATA-3Tgマウスを用いたニッケルアレルギー誘導モデルの確立とTh2型免疫反応の関与を明らかにしInt Arch Allergy Immunol (in press)に掲載のはこびとなっている。2. 異なる温度により形成された酸素拡散処理Ni-Ti合金(TO300とTO500)についてGATA-3Tgマウス耳介助腫脹反応を用いて比較検討した。その結果、(1). TO500は非処理群と比較して著明に腫脹反応が抑制された。また、(2) TO300についても同様に検討し非処理群と比較してTO500と同程度の抑制効果を示しが、TO500とTO300の間に有意な差は認められなかった。TO500及びTO300はイオン溶出率が同程度であることから、この腫脹反応がニッケルイオン依存的に誘導された可能性が示唆された。しかし、TO500とTO300の処理による金属面の皮膜の厚さが異なることを鑑みると感作期間により反応が変わる可能性をも含んでいることや生体組織との親和性の違いを示唆する知見も得たことから今後更に詳細に検討する必要性が示された。抗原非特異的な抗体価の測定に終始していたが金属イオン特異的な抗体価の測定の可能も示唆されたので、次年度に測定系の樹立も目標に含めたい。
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