研究概要 |
本研究では,医薬品製造に関わるコンピュータ化システム(DMCS)の機能と性能が適切であることを立証するコンピュータ化システムバリデーション(CSV)の方法について研究し,最終的にはCSV実施支援環境を構築する.平成23年度は1.CSV実施時に行うリスクマネジメント,2.プログラマブル・ロジック・コントーラ(PLC)を使用したDMCSの予測的と回顧的なCSVの実施方法,3.平成21年度から平成23年度に研究・試作した各種の方法と支援ツールについて既存のコンピュータ化システムを使用して評価した. (1)については,既存のDMCS(約20件)を実施した際に行われた故障モード影響解析(FMEA)の結果を収集して,故障モードの分類を行った.その上で,DMCSに広く適用可能な共通故障モードを導出して一覧表化した.そして,その一覧表を用いて新たにDMCSのCSVを実施際のFMEAを漏れなく円滑に実施できるようにした. (2)については,厚生労働省の通達により,従来はCSVの対象外であったPLCを使用したDMCSがCSVの対象になったことを受け,すでに開発され運用されているPLCベースのDMCSの機能と性能の適切さを遡って立証する回顧的CSVの実施手順を提案した.さらに平成22年度までに試作した統合CSV支援環境に,PLCベースDMCSの支援ツールを組み込んだ.この結果,作業の漏れのないCSVが実施できるようになり,効率が約20%向上した. (3)については,平成21年度から平成23年度に試作した統合CSV支援ツールを使用して,既存のDMCS(20件)に対して,CSV作業の適切さと効率性を評価した.適切さについては,作業を規定化してツールに組み込んだことでミスがなくなった.またCSVに関わる情報をデータベースで管理したことで,設計の不整合がなくなった.効率については,各種のCSVで約20%~30%の効率化が実現できた.
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