研究概要 |
複眼光学系を利用したマルチ機能フィルタビジョン内視鏡を提案した.提案システムを用いると,画面の切り替えなしに多種類の特殊光画像を取得することができ,内視鏡を一度挿入するだけですむ.システムは,マイクロレンズアレイ,波長帯域フィルタ,迷光遮断隔壁および1台の撮像素子から構成される.マイクロレンズ1枚に対して複数の画素が対応するため,各レンズからの画像が1台の撮像素子上で結像する.また,波長帯域フィルタとしてNarrow Band Imaging内視鏡(NBI内視鏡)等で使用する特定波長帯域フィルタをマイクロレンズ毎に装着するため,1台の撮像素子で複数の特殊光画像を取得することが可能となる.本年度は,昨年度までに試作したシステムを用いて評価を行った.試作システムでは,1枚1群両面非球面波面符号化レンズを設計・試作した.このため,近接から遠方まで同様のピント状態で観察することが可能である.得られた画像は逆フィルタを掛けることにより被写界深度の極めて高解像度な画像を再構成することができた.また,特定波長帯域フィルタを2枚で1対のフィルタ群とすることにより.各レンズアレイ群より,サンプル(豚肉,鶏肉)の3次元映像構築を行った.深さ方向1mmごとに血管を模写した鉄線の検出実験をおこない,誤差1.5%の精度で測定および解析を行うことができた.さらに,3次元計測の精度向上のため,照明だけでなく構造光投影パターン(回折光学素子)をとり入れた新しい照明系を検討した.
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