研究課題
癌部に集積した増感剤を音響化学的に励起するための集束超音波トランスデューサを開発した。収束超音波トランスデューサは、最大で150V前後の印加電圧、数MHzの周波数にて振動させるため、その素子自体の発熱が問題になる。そこで、まずシミュレーションにより水中音響伝播過程および熱伝導過程を計算した。PZFlexを用いて次元曲面状振動子をモデル化し、水中波動伝播解析および熱伝導解析を行った結果、媒質中で最も音響エネルギーが集中する焦点付近で摂氏1度程度の温度上昇が起こる様子が確認された。このトランスデューサを用いて、ブタの肝臓を対象とする超音波照射実験を実施したところ、焦点をピンポイントで加熱することに成功した。この結果から、癌部に集積した増感剤を励起するために十分なエネルギーを照射できることが示唆された。周波数と印加電圧で熱変性の仕方が変わり、周波数が高ければ比較的浅い(近い)部位がピンポイントで、周波数が低ければ深い(遠い)部位が比較的広範囲に熱変性を起こすことが明らかとなった。癌部だけをピンポイントで照射するには高い周波数を用いればよいが、患部の位置によっては周波数を下げざるを得ず、広範囲に熱変性を生じてしまう結果となり、周囲の重要血管等の走行に十分注意を要することがわかった。収束超音波装置による安全な照射位置制御を実現するためには、リアルタイム超音波画像を用いた照射位置自動追尾機能を持たせ、呼吸や蠕動などによる刻々と変化する照射部位確実に捉え、あらかじめ決めた部位のみに照射可能なシステムを構築する必要があることが明らかとなった。
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Pediatr Surg Int
巻: (Epub)
J Pediatr Surg
巻: 46 ページ: 608-611
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