研究課題/領域番号 |
21500450
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
神野 正敏 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (30195185)
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研究分担者 |
藤本 眞一 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (70209097)
水野 麗子 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (80398437)
太田 一郎 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00326323)
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キーワード | 超音波治療 / 分子標的療法 / 抗EGFRモノクローナル抗体 / セツキシマブ / アポトーシス |
研究概要 |
モノクロナール抗体を用いた分子標的治療は、悪性リンパ腫のみならず複数の固形がんにおいて実地臨床で使用されているが、抗がん剤を併用しない単独投与では必ずしも満足な治療効果は得られていない。また、頭頸部がん領域においても手術治療、化学療法、放射線治療に加えて分子標的薬治療が導入されつつある。現時点では欧米において承認されている分子標的薬はEGF受容体(EGFR)を標的とした抗ヒト・マウスキメラ化EGFRモノクローナル抗体セツキシマブのみで、放射線治療との併用で一定の効果は認められるものの、現在の標準治療であるシスプラチンを中心とした化学放射線治療を越える効果は見出されていないのが現状である。これまでにCD20陽性B細胞性リンパ腫細胞株SU-DHL-4細胞に対して、超音波照射および抗ヒトCD20モノクローナル抗体リツキシマブによるアポトーシス誘導の相乗効果を認めることを報告してきた。今回、頭頸部扁平上皮癌細胞に対して超音波照射を付加することによりセツキシマブの抗腫瘍効果が増強されるかをin vitroで検討した。その結果、セツキシマブ単独では細胞増殖抑制効果を認めるものの、アポトーシスの有意な促進を認めなかった。しかしながら、超音波照射によりEGFRのリン酸化の抑制化の促進とCaspase-3の活性化の増強を示し、殺細胞効果(アポトーシス)の増強が認められた。これらの結果から頭頸部癌細胞に対してセツキシマブに超音波照射することで、より効果的に抗腫瘍効果が得られることが示唆された。今後、これらの研究結果に基づき、ヌードマウス等を用いてin vivoで超音波照射がセツキシマブの抗腫瘍効果が増感できるかを検討していく予定である。このように今回の研究成果は超音波照射治療の臨床応用への基盤となる重要な基礎データとなると考えられる。
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