研究概要 |
皮膚は「内臓の鏡」と呼ばれ、皮膚疾患に限らず多くの内科疾患において種々の皮疹を示すことから、その皮疹の評価(凹凸や色調・硬さ)が重要である。しかし、それらの正確な評価は必ずしも容易ではなく、熟練した皮膚科専門医の視診・触診に頼っているのが現状である。本研究は超音波パラメータを用いてこれまでにない斬新で客観的な皮膚疾患診断法の開発をめざしたものである。 本年度は、まず、2011年8月世界超音波学会(オーストリア、ウイーン)にて、干渉型音響インピーダンス計測法を用いたin vivoでヒト皮膚(手掌)表面およびブタ皮膚火傷の画像化に関する成果の発表おこなった。また本成果についての論文発表を行った(Fujii, Y., Yoshizawa, M., Emoto, R., Haruyama, N., Irie, T., Taniguchi, N.: Processed skin surface images acquired by acoustic impedance difference imaging using the ultrasonic interference method: a pilot study. J Med Ultrasonics 39; 37-42,2012.)。この結果から、関心領域の凹凸性状のみならず、病理組織学的変化に起因する内部性状の変化を本手法による客観的な評価が可能であると考えられ、本手法の皮膚疾患への応用に向けてさらなる検討が待たれるところである。 さらに、生体正常皮膚およびブタの切除皮膚標本のデータ採取を行い、本計測システムの分解能の限界、および得られた画像の客観的評価法(数値化など)についての検討を行っている最中である。この結果をもとに、臨床応用への試みとしてヒト皮膚病変の画像化に今後着手する予定である。
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