本研究は超音波が細胞に与えるメカニカルストレスの基礎的検討を通じて、超音波を用いた培養細胞へのメカニカルストレス負荷システムの構築を目指すものである。 平成20年度までに開発を進めてきた超音波照射によるメカニカルストレス負荷システムは研究者独自のアイデアによるオリジナルの装置である。本システムを用いて基礎的照射実験を行ったところ、超音波照射部の予想を超える温度上昇が生じたため、平成21年度は主としてこれを除去するシステムの開発に当てた。これは照射装置を入れた樹脂製のケース内に一定温度の水を循環させることにより、照射部を冷却しようとするものである。加工に特殊技術を要するため、装置の作成に時間を要したが、試作を重ねて装置を完成させることができた。またその後の基礎的照射実験で、本システムを稼動させることにより、培養装置内で照射部の温度を上昇させることなく、連続して細胞に超音波を照射できることを確認した。これによりメカニカルストレス負荷システムは完成をみたと考えている。平成22年度以降本システムを用いた培養細胞に対する照射実験により、メカニカルストレス負荷の至適条件が明らかとなり、実験系が確立されることが期待される。
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