研究概要 |
本年度の研究目的は、効果的な姿勢回復戦略考察のためのに、卓越したバランス能力が要求される競技を長年に亘り学習してきたエリートアスリートのフィードバック姿勢制御特性を解明することだった。対象は、国際レベルのスキージャンパー選手10名と健常若年者10名だった。三次元動作解析システムを用いて重心を算出し,10姿勢筋から筋活動を導出した。外乱刺激には床面水平刺激装置を用いた。被験者は刺激装置上に安静立位を保持し,大小の外乱強度を前後2方向に(4課題)ランダムに計60回施行し,外乱後の代償的姿勢反応の姿勢筋活動を計測した。その結果、全課題においてアスリート群はコントロール群と比較して外乱後の最大重心速度は有意に小さく、その変動係数も有意に小さかったことから、アスリート群の優れたバランス能力が示された。屈筋および伸筋の代償的姿勢反応期における同時収縮性を定量的に解析するために、筋活動による相互相関係数を求めた。その結果、アスリート群はコントロール群と比較して足関節底背屈筋の同時収縮性が有意に高いことが示唆された。姿勢筋群の筋シナジーおよびシナジー間の協調性については現在解析中である。 研究成果は、国際学会(4th International Conference on Bioinfomatics and Biomedical Technology ICBBT-2012, February 26-28, 2012, Singapore)および全国学会(第46回日本理学療法学術大会,2011年5月,宮崎)で発表し、平成24年度全国学会(第47回日本理学療法学術大会,2012年5月,神戸)で発表する予定である。 床面からの水平外乱は,スリップやバスの発着時など日常で少なからず直面する.本研究の成果は,立位バランス練習のための新たな姿勢戦略の開発に有用である.
|