研究概要 |
本研究は,正常な成人有歯顎者を基準に,構音・摂食・嚥下障害をもつ高齢者や舌切除者,および脳中枢に障害を持つ中途障害者に対象に,EPG(電気的パラトグラム)と舌圧測定システムを併用し作製した義歯を用いた場合の構音訓練への有用性・問題点を検討する.またWin-BPG・Systemを応用した構音・摂食・嚥下機能と歩行など身体機能改善のための新たな訓練システムの構築を目指すことを目的とする. 平成22年度は,新たな舌接触(EPG)システムと舌圧測定システムの開発とその臨床応用の検討を行った.具体的には,以下の2点について検討を行った. 1.分担者の笹川らによって開発した舌圧測定システムを用いて,製作した舌接触口蓋床義歯の口蓋部などの舌圧を測定し,日本語子音を用いて作製した舌接触部分と舌圧の関係を調査 2.標準的パラトグラムを目標として口蓋部の形態形成可能な舌半側切除者を対象に口蓋床義歯装着前後の構音・摂食・嚥下機能の評価をする. 結果は,以下の通りである. 1.従来の市販されている舌圧測定と比較して,笹川が開発した舌圧センサは厚さが約0.6mmと薄く,測定点数も16~32点で多く,より詳細に舌圧測定が可能と思われる.しかし,口蓋部の3次元形状への適合やセンサ感度に関して難点が多く,まだ改良が必要である. 2.口蓋床義歯装着前後を比較すると,パラトグラムの観察および発語明瞭度から,口蓋床義歯装着による構音機能の改善が観察された.また,摂食・嚥下機能に関しても,「タ」・「キ」・「カ」を応用した口蓋形態形成法により,その改善が確認された.
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