研究概要 |
本研究は,正常な成人有歯顎者を基準に,構音・摂食・嚥下障害をもつ高齢者や舌切除者,および脳中枢に障害を持つ中途障害者に対象に,EPG(電気的パラトグラム)と舌圧測定システムを併用し作製した義歯を用いた場合の構音訓練への有用性・問題点を検討する.またWin-EPG・Systemを応用した構音・摂食・嚥下機能と歩行など身体機能改善のための新たな訓練システムの構築を目指すことを目的とした. 平成23年度は,EPGシステムと舌圧測定システムの開発とその臨床応用の検討を,以下の2点について行った. 1.分担者の笹川らによって開発した舌圧測定システムに関して,舌圧測定の再現性を高めるための改良を行う.具体的には口蓋部への舌圧センサの設置方法と,その感度の改良.また,測定部位と測定点数の修正を行う. 2.製作した舌接触口蓋床義歯の口蓋部などの舌圧を測定し,日本語子音を用いて作製した舌接触部分と舌圧の関係を調査. 結果は,以下の通りである. 1.舌圧測定の再現性を高めるために,これまで直接口蓋部に貼付していたセンサを,口蓋部石膏模型に圧接し作製した厚み0.25mmの塩化ビニルシート上に貼付することにより,口蓋部の3次元形状への適合の改善がなされた.また,口蓋全体への貼付は困難であったため,測定部位を口蓋前方部から正中,および口蓋左右側面とし,測定点数を27点とした. 2.改良した舌圧センサを用いて発音時と嚥下時の舌圧測定が可能だった.また,発音時と嚥下時の舌圧を比較すると,前者の方が有意に小さい値となった.
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