研究課題
COPDは心不全や加齢とともに、サルコペニアの原因として重要である。その成因は、disuse、サイトカイン産生による炎症、酸化ストレスなどが考えられる。高強度トレーニングは活性酸素の産生、酸化ストレスを亢進することが知られる。低強度の加圧トレーニングには、高強度トレーニングに匹敵する筋肥大効果が報告されている。そこで加圧トレーニングと種々の運動が血中酸化ストレス指標に及ぼす影響につき、健常人と患者(主に虚血性心疾患)で検討した。各種目において、血中酸化ストレス指標として、活性酸素代謝産物濃度(dROMs test)と抗酸化力指標(BAP test)を測定した。70%1RMの高強度筋力トレーニング及び高強度aerobic interval training(HAIT、エルゴメーター)は、有意にdROMs、 BAPを増加させた。また加圧下での低負荷エルゴメーター運動及び筋力トレーニングは、非加圧時に比べ有意にdROMs、 BAPを上昇させた。さらに健常人では、BAPが乳酸、WBC、ノルアドレナリン(NOR)と有意に相関したが、dROMsとは相関しなかった。一方疾患群では、dROMsが乳酸、WBC、 NORと有意に相関し、BAPも乳酸、WBCと相関した。このように、高強度トレーニングと加圧トレーニングでは酸化ストレスと抗酸化力の亢進が見られた。また健常人では運動強度、血流制限に依存して抗酸化力が活性化し、酸化ストレスの上昇を抑制するが、疾患群では運動強度、血流制限に依存して酸化ストレスが亢進すると思われ、COPDなどの疾患で加圧トレーニングを応用する際には、負荷強度や血流制限の程度を十分考慮する必要があると思われた。我々は、マシンが使用できない重篤なCOPD患者では、elastic bandを用いた加圧トレーニング、加圧ウォークなどの負荷の軽い加圧トレーニングを実施している。そこで、高齢者の加圧ウォークの下肢筋力、筋肥大ならびにQOL改善効果についても検討した。加圧ウォークは高齢者の下肢筋力を改善するとともに、静脈コンプライアンスを改善した。また著明な筋萎縮を認めたChurg-Strauss症候群において加圧トレーニングが著効した1例も報告している。今後はCOPD患者での加圧トレーニングの効果とともに、安全で効果的なトレーニングメニューの作成につき、酸化ストレス、炎症の面からも研究を継続する。
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