研究概要 |
研究目的は、ストック歩行(PW:ポールウォーキング)の運動特性を解析し、高齢者や有疾患者に応用しその効果の検証と適切な運動処方を構築することである。そのため研究は3つに細分化される。1、健常者を対象にポールウォーキングの運動特性を解析する。2、高齢者、特に在宅高齢者が最も多く利用する施設であるデイサービスで応用し、地域在住高齢者の運動機能向上方法を確立するため、その介入効果を検証する。3、有疾患症例(変形性膝関節症など)へのポールウォーキングの応用とその効果を検証するである。本年度は2の一部を実施した。対象は、デイサービス4施設の利用者26名とし、それら施設を第3者により、デイサービスで通常に行われている歩行訓練を実施する施設(コントロール群)とPW実施施設(介入群)に無作為に割り付けた。今回,最終評価実施者が21名(5名脱落)となり,さらにそのうち三次元動作解析が可能であった13名(介入群8名,コントロール群5名)を解析対象とした。評価方法は,三次元歩行解析および姿勢解析とした。評価項目は(1)5秒間の静止立位,(2)5m歩行,(3)Timed up and go Test (TUG)とし,介入前後で比較検討を行った。その結果、歩幅,歩行速度,TUG,歩行中の股関節,膝関節,足関節における各関節角度,また立位姿勢における各脊椎角度において介入群とコントロール群の間に有意差は認められなかった。しかし、有意差はないものの介入群において下位頸椎角度が64度から68度と約4度改善(頭部の前方突出の軽減)しており通常の歩行よりもPWで姿勢改善の可能性が示唆された(なお、現在新しく約60名を取り込み研究2の介入継続中であり、最終的な結果は来年度の研究と合わせ検討する)。
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