本研究は、地域在住高齢者を対象に、匂い刺激を用いた回想法を行い、抑うつや主観的幸福感に対する効果を検討した。匂い刺激を回想の手がかりとした回想法を8回実施し、Geriatric Depression Scale-15(GDS-15)とLife Satisfaction Index K(LSIK)を用いてベースライン、介入直前、介入終了直後、介入終了3ヶ月後の4時点で評価を行った。GDS-15において有意な変化が認められ、匂い刺激を回想の手がかりとして用いた回想法は、高齢者の精神的健康の維持において、短期的のみならず中期的な効果を示す可能性が示唆された。
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