本研究では、ノイズキャンセリングヘッドフォンを聴覚過敏のある広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorder;PDD)児に使用させ、それによって彼らの聴覚過敏に伴う問題行動が軽減するかどうかを明らかにする。 本年度は、PDD児の聴覚過敏を引き起こす音源の特性とそれによる行動反応の実態について調査した。そして、生活の中での騒音を減衰することによってPDD児の行動の問題が変化するのか否かを検証した。対象は聴覚過敏のあるPDD児9名であった。 PDD児が過敏反応を起こしている不快刺激はテレビの効果音、電気機器の音、子どもの泣き声などの生活関連音であったが不快音に一貫性は見出されず、PDD児個々でそれが異なることが示唆された。騒音を減衰するイヤーマフを日常生活の中で使ってもらい、それによる行動反応の変化を調べた。その結果、イヤーマフを使用しないコントロール期間に比べ、イヤーマフの使用期間の方が聴覚過敏に伴う問題行動が有意に少ないことがわかった。 今後、騒音を機械的に消去するシステムを用いたノイズキャンセリングヘッドフォンによるPDD児の問題行動の軽減効果を研究する。
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