本研究では、ノイズキャンセリングヘッドフォンを聴覚過敏のある広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorder;PDD)児に使用させ、それによって彼らの聴覚過敏に伴う問題行動が軽減するかどうかを明らかにする。 本年度は、健常成人を対象に聴覚過敏と自律神経系の反応の関係をとらえた。19~25歳の健常成人にSensory Profileに回答してもらい、聴覚刺激への反応性をとらえた。そして、聴覚刺激への過敏反応の度合によって被験者を過敏群とコントロール群に分けた。そして被験者に500Hzと6000Hzの周波数の音を20dB、50dB、80dBの音圧の音を5回ずつ連続で聞かせ、その際の手掌発汗量の変化をとらえた。 繰り返しのある二元配置分散分析の結果、6000Hz-80dBの音でグループと刺激回数の交互作用が認められた。また過敏群のみ500Hz-80dB、500Hz-80dB、6000Hz-50dB、6000Hz-8dBにおいて刺激回数による単純主効果が認められた。よって過敏群は音刺激に対する慣れ現象が起こりにくいことが交感神経の反応から示唆された。 今後、騒音を機械的に消去するシステムを用いたノイズキャンセリングヘッドフォンによるPDD児の問題行動の軽減効果を自律神経系の反応から研究する。
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