長期入院統合失調症患者64名を対象に退院困難度(8因子29項目版)と関連要因を検討した。退院困難度と有意な相関が認められた評価項目は、作業療法参加回数、GAF(全般的機能評価)、BPRS(簡易精神症状評価尺度)、LASMI(精神障害者社会生活評価尺度)などであった。対象者のセルフスティグマは、LASMIと有意な関連性が認められた。退院困難度は生活障害と精神症状に関連し、退院困難要因としては病識と薬物療法の必要性の自覚、日常生活能力、家族関係などが明確になった。退院支援には疾病や服薬に関する心理教育、作業療法による生活障害の改善、家族心理教育などが重要であることが示唆された 精神科看護師215名を対象に慢性統合失調症仮想事例に対する地域生活困難度の評価を行い、看護師自身のセルフスティグマとの関連性を検討した。因子分析の結果、地域生活困難度は、「入院指向」、「地域生活のための人的資源」、「地域生活上の社会的不利益」の3因子が抽出された。セルフスティグマは「入院指向」と有意な相関が認められた。重回帰分析の結果、「入院指向」と「地域生活上の社会的不利益」との間に有意な関連性が認められた。精神科看護師は統合失調症を有する人の地域生活に対して悲観的な見方をする傾向が強いため、暴力のリスクに関連づけられた「入院指向」の認識を改善し、多職種のケアマネジメントによる生活支援技術を習得するプログラムの必要性が示唆された。
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