障碍分析の主要部分となるホルマント周波数推定の高精度化について、昨年度に引き続き坂田担当で実施し、評価の汎用化を含めて、国際会議ICA (Australia)にて、また、障碍音声と健常音声の比較評価法の例について、、国際会議KYJCA (Japan)にて、それぞれ発表した。音声可視化機能について試作した実験システムについては国際会議AES (USA)にて発表した。他に、国内学会にて数件の発表を行い、ホルマント推定法の高精度化については原著論文にまとめた(2011年度中に掲載決定)。可視化の主要部分となる母音音声の色彩表現に関しては、構音状態と色彩知覚(診断)の相互対応について詳細に検討を行って、KYJCAにて発表した。子音音声歪の定量化については、本年度は資料収集と必要箇所のセグメンテーション作業に終始し、今後の大規模な子音評価に備えて準備段階となった。具体的な障碍音声評価については、鹿児島大学よりサンプル提供された多数の顎変形症患者音声を例として、ホルマント周波数の歪に着目して健常音声との比較を行った結果、単語音声レベルでの比較により両者の相違を明確にする必要性が指摘された。即ち、検査語群の有声区間(母音)のスポッティングとラベリングにより、正規化構音空間である新たに定義するhv平面への写像により、本空間において健常音声と障碍音声の比較評価(診断)を行うという考え方である。本手法については、23年度に詳細を詰めていく予定である。なお、本年度予定していたサーバ・クライアントベースの診断・訓練システム構築については、サーバとなるPCを購入したが、年度内に完了できずに現在構築中である。
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