研究課題/領域番号 |
21500479
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
吉田 輝 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (40347109)
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研究分担者 |
池田 聡 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00343369)
大渡 昭彦 鹿児島大学, 医学部, 助教 (30295282)
川平 和美 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20117493)
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キーワード | 温度受容体 / 温熱 / 排尿筋 / ラット |
研究概要 |
寒冷刺激が排尿機能へ及ぼす影響については、寒冷刺激による排尿筋の収縮、寒冷ストレスによる膀胱過活動の誘発などの報告があるが、温熱が排尿機能に及ぼす影響について検討した報告は少ない。そこで本年度は摘出排尿筋収縮に対する温熱の影響を検討した。 SD系雌ラットから摘出した排尿筋切片を、Krebs-Ringer液で満たしたマグヌス管内にlgの静止張力をかけた状態で懸垂し、等尺性張力実験により、Krebs-Ringer溶液の温度を36℃から40℃または42℃に上昇させた際の、40mM KC1と10^<-5>Mカルバコールによる排尿筋収縮反応の変化、静止張力及び自発収縮の変化を検討した。 その結果、KC1による収縮は、40℃の温熱により11%、42℃の温熱により15%抑制された。また、カルバコールによる収縮は、40℃の温熱により16%、42℃の温熱により26%抑制された。また、Krebs-Ringer液からCa^<2+>を除去、EGTAを加え、細胞外からのCa^<2+>流入を抑制した条件下でのカルバコール収縮に対しても、40℃と42℃の温熱は同様の抑制作用を示したことから、温熱は細胞内のCa^<2+>動態を抑制し排尿筋弛緩作用をきたすものと考えられた。また、42℃の温熱は静止張力を9%、自発収縮の振幅を54%抑制した。 本年度の研究から温熱が排尿筋収縮に対し抑制作用を持つことが明らかになった。この温熱による排尿筋弛緩作用は、神経因性膀胱でみられる排尿筋過反射の抑制や、膀胱容量の増加といった臨床上の有用性を持つ可能性を示唆している。また、温熱には薬物と異なり体表面や膀胱内からも適用が可能で、しかも膀胱へ限局的に適用することが可能という利点がある。今後、シストメトリーにより、対表面あるいは膀胱内からの温熱の適用による排尿反射への影響を正常ラットと脊髄損傷ラットで調べることで、その効果を確認していく予定である。
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