研究概要 |
本研究は、申請者らが平成20年度まで科学研究費の助成を受けて開発してきた「簡易ドライビングシミュレータ(SDS)」が有するスクリーニング測定機能を補完し、臨床において、より対象者の微細な変化をとらえる自動車軍転評価を可能とするために新型システムの導入と臨床への適用を最終目的としている。本年度は、自動車運転可否に関わるハプティックデバイス(HD)装置の指標作成のための対照群データの蓄積を目的とした。具体的には、臨床における自動車運転評価の現状を調査するともに、(1)SDS、HD装置を使用した認知・上肢機能評価,(2)心身機能測定および生活状況に関する情報の聴取を実施した。評価項目は、上肢機能、体力等の身体機能、記憶検査等の精神機能検査であった。当初、対象者の同意が得られた場合、(1)における測定値と実車運転の関係を分析する目的で、実車運転も評価項目含める予定であった。しかし、被検者の意向により実車運転への同意を得ることが難しい場合が多く、データ数が当初の目標(100名)に達せず、次年度においても継続することとすった。実車運転との関係性の検証については何らかの対策を講じるべきであろう。また、被験者の負担軽減のため、聴取する情報を減らすなど、目的に支障のない範囲で若干の計画変更を行った。現時点において得られている結果からは、SDS、HDの成績の間に正の相関があり、年齢と成績との間に負の相関が認められている。これらは中間報告であるが、仮説通りの結果を示しており、さらに被検者数を増やすことにより、健常人の測定結果の分布を明確化することができると思われる。
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