研究課題/領域番号 |
21500494
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
上野 敦子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (30277199)
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研究分担者 |
冨澤 康子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (00159047)
上塚 芳郎 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40147418)
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キーワード | 大動脈弁閉鎖不全症 / 運動耐容能 / 予後予測 / BNP / 運動療法 / 心筋障害 |
研究概要 |
本研究は大動脈弁閉鎖不全症に対して人工弁置換術を施行されたなかで、術後長期経過した後心機能低下や致死性不整脈の出現がみられる例がみられることから、手術の至適時期を規定する因子を心筋障害や運動耐容能から予測するための研究である。 運動耐容能をあげるためのトレーニング手段としての機器の購入が遅れたが、それまでの間、大動脈弁閉鎖不全症患者の運動負荷心筋シンチグラフィーやMRIによる心筋障害の評価を行った。中等度から重度の大動脈弁逆流で左室拡大のみでは必ずしも心筋障害がみられるものではないことを確認した。また、トレッドミル運動負荷検査にて突然死や致死性不整脈出現の予測因子とされるT波の交互変化(T wave alternans : TWA)を測定し、心負荷所見や収縮能、拡張能などとの関係を検討した。この結果、TWA値が血清中の脳性利尿ペプチド(BNP)と弱い相関を示し、TWA値がその中央値より小さいと有意に血清BNP値が低いことを示した(心臓病学会、日本循環器学会学術総会にて報告)。この測定をもとに今後、大動脈弁閉鎖不全症症例を増やし、運動耐容能とともにTWAを測定することでその予後を予測し、手術時期の予測に役立てられると考えられる。さらに低負荷から高負荷までかけられる下肢エルゴメーターにより、下肢トレーニングが高齢者のみならず、若年、壮年にも施行可能になったため、その効果を幅広く確認できるようになり、現在トレーニング方法の試行を行っている。大動脈弁逆流は過負荷であると、その逆流量が増えると考えられているが、至適運動強度をエコーで確認しながら行えるので、運動療法での逆流増悪のリスクを減らすことができる。このことは、運動療法の強度を自覚症状以外の要素から判断でき、適切な運動量を決定し指導することに有用である。
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