研究課題/領域番号 |
21500500
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
青柳 陽一郎 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (30286661)
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研究分担者 |
山本 敏泰 岡山理科大学, 工学部, 教授 (20412158)
目谷 浩通 川崎医科大学, 医学部, 講師 (30330583)
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キーワード | 摂食・嚥下障害 / A型ボツリヌス毒素 / 治療的電気刺激 / 輪状咽頭筋 |
研究概要 |
脳卒中(ワレンベルグ症候群、多発性脳梗塞、脳出血)、脳腫瘍、神経筋疾患(パーキンソン病、Meige症候群、急性散在性脳脊髄炎)、特発性嚥下障害患者(平均年齢64歳)に対して1%リドカインを用いて輪状咽頭筋ブロックを行った。うち輪状咽頭筋弛緩不全と判定した28名(33例)において輪状咽頭筋ブロックで食道入口部の開大が得られ通過障害が改善したため、同部位にA型ポツリヌス毒素(BOTOX50単位)を注入し、初回BOTOX注入患者のうち93%で1ヶ月後の摂食状況、食道流入で改善がみられた。VF動画の解析により、咽頭収縮を阻害することなく、食道入口部径の開大が得られることが明らかとなった。また長期にフォローしている患者においても有害事象は発生しなかった。ポツリヌス毒素注入療法は、食道入口部のみを弛緩させることにより、輪状咽頭筋弛緩障害を改善することが明らかとなった。 機能的電気刺激の視点から嚥下障害患者の喉頭挙上を支援する表面電極刺激方法として、喉頭挙上筋群の内、主に顎二腹筋と茎突舌骨筋の刺激について検討した。昨年度までの研究で、被験者は、20歳代の健常者15名と50~70歳代の嚥下障害患者4名とした。液体嚥下は座位で水分約3mlを嚥下させ、喉頭挙上動作をデジタルビデオカメラで計測した。銀織布製の表面電極を筋腹上に貼付し、電気刺激を行った。最初に健常者3名で刺激強度に対する喉頭挙上の動作特性を調べた。喉頭挙上動作の軌跡は刺激強度上昇に伴い挙上距離が増加し、挙上と下制の軌跡がやや異なるヒステリシスループを描いた。次に、健常者12名と嚥下障害患者4名の電気刺激による喉頭挙上では、液体嚥下時のそれぞれ平均76%および87%の挙上距離が得られた。表面電気刺激で嚥下反財時の喉頭挙上に近い動作が再建可能であることが示唆された。
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