研究概要 |
平成21年度は下肢荷重量計測システムを製作し,最も下肢筋のSSPが誘発しやすいトラッング動作課題における条件設定などを検証した。下肢荷重量計測システムとして靴内挿型の圧電フィルムを用いた荷重モニタシステムを作成するための予備実験を行った。その結果,靴内挿型の圧電フィルムは床反力計と相関し,それを用いた簡易型下肢荷重モニタシステム作成への準備ができ,すでに作成に取り掛かっており,平成22年5月に完成予定である。簡易型下肢荷重モニタシステムの作成が遅れたため,計画は全体的に遅れている。予備実験として,運動・動作に関する運動生理的変化の指標として切り換え動作時に認められるswitching silent period(SSP)を誘発するため大殿筋,中殿筋,股関節内転筋群,大腿四頭筋,ハムストリング,前脛骨筋,ひらめ筋.腓腹筋からの筋電波形から得られるSSPを検証した。トラッキング動作課題では筋放電が認められるが,明らかなSSPは現時点では特定できていない。歩き始めの動作課題では,腓腹筋や中殿筋にSSPが確認できたが,それがいつも出現するとは断定できない。動作課題としては,トラッキング動作,歩き始め動作が現時点ではSSPを誘発するための有用な課題ではあるが,今後条件設定などを含め最も適した課題を探すための研究を行う。また,トラッキング動作や歩き始め動作の条件設定を変更して引き続き研究を行い,下肢筋のなかで最もSSPの特徴が認められる筋を限定していく。そのような状況であるので,精度や再現性に関する基礎実験はまだ行えていない。平成22年度5月から精度や再現性に関する研究を開始する。
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