研究課題
本研究は、緊急通報作成を情報のユニバーサル化を目指した一つの検討として、日常生活で手話を使用している聴覚に障害がある人たち(ろう者)を通報の対象とした当手話と日本語との2つの言語を用いた「二言語緊急通報の効果的な作成」を目的としている.二言語緊急通報の内容は、地震情報を主としながら交通機関の運行状況なども対象とした議論を行った.本年度は、検討の最終年度として、昨年度実施した手話のみによる通報作成の検討結果を参考にして、手話と日本語との2つの言語を用いた二言語地震通報を作成した.このようにして作成した複数の二言語地震通報を、ろう者に提示し、通報の評価実験を実施した.評価項目は、通報内容の理解の容易さ、実際の状況での通報の利用可能性などであり、インタビュー形式による意見収集も行った.作成した6種類の通報は当(通報1)手話のみの通報、(通報2)手話映像と字幕(日本語)との二言語通報、(通報3)通常の日本語地震通報と手話通報との二言語通報、(通報4)表形式の日本語通報と手話通報との二言語通報、(通報5)通報3に日本地図(震源地表示)を加えた二言語通報、(通報6)通報4に日本地図(震源地表示)を加えた二言語通報、である.6種類の通報を対象とした評価実験から、つぎのことが明らかとなった.(1)通報6が最もわかりやすい.(2)手話のみの通報1が最もわかりにくい.(3)地図による震源地情報は非常に有効である.(4)日本語通報は表形式がわかりやすい.(5)通報の総合的な理解には、手話と日本語との対応が明確であることと、日本語のわかりやすさが重要である.本検討から以下のことが明らかになった.(1)二言語通報の作成において手話は通常の会話態形式よりも通報に特化した一方向的な通報伝達を目指した表現がよい.(2)日本語は一覧性に優れた形式がよい.(3)地図による震源地提示の通報内容のわかりやすさへの寄与は非常に大きい.
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電子情報通信学会論文誌D
巻: Vol.J95-D ページ: 276,286
巻: Vol.J94-D ページ: 1530,1540
日本信頼性学会誌「信頼性」
巻: Vol.33 ページ: 242,248