触刺激による本人認証のための認証キーを構成するにあたり、コーディングされる認証キーの解釈のし易さ、触感としての記憶のし易さ、バリエーション確保の観点において、触覚仮現運動ベースの触刺激の応用を検討している。本年度は、前年度までに完成された触刺激に対する刺激弁別評価の計測システムにおいて、まずは触覚仮現運動に伴う心理反応としての刺激弁別を重心動揺および皮膚表面筋電位、身体動態から総合評価する手法を確立した。さらに熱画像解析装置を追加導入し、触刺激に対する嗜好を評価する機能を追加した。この拡張により、触刺激に対する心理反応としての刺激弁別と嗜好が統合的に計測評価可能となり、本研究課題において計画されていた実験システムは完成させた。さらに熱画像解析のための心臓血管系の調査、および提示刺激に対するリズム知覚と心理反応との関連性の生理指標に基づく計測結果を踏まえ、事象関連脳電位および鼻部皮膚温を生理指標にした触刺激の嗜好評価の可能性を検討した。また、社会情勢の変化に伴う新たな課題として、触刺激素子の入手が困難になったため、その対応として安価な振動モータでの代用について検討を行った。
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