研究課題
本研究課題の最終年度にあたり前年度までの研究成果を総括し、ファントムセンセーションおよび仮現運動をベースに触刺激により本人認証を成立させるための仕組みが構成された。この仕組みの基本的な考え方は「個人認証方法、個人認証システム及び認証プログラム」(特許第4862155号・2011年11月18日取得)に集約される。ユーザは触感を頼りに入力デバイスを操作して触刺激提示装置から出力される触刺激の触感パターンを調整、事前にデータベースへ登録していた触感パターンをその場で再現することにより本人認証が成立する。だたし、触感パターンは単純な触刺激の組み合わせではなく、触覚で生じる二種類の錯覚現象、ファントムセンセーションと仮現運動の触感覚統合により表現された方位情報、という形でユーザへ伝えられる。すなわち、本人認証の基礎データ、データベースに登録される情報のうち、認証キー(触刺激)に対応する部分は、ファントムセンセーションと仮現運動の触感覚統合によって表現される方位情報に置き換えられる。安定的に本人認証を成立させると共に、入力デバイスを操作して触感パターンを調整するときのユーザの癖個性をも本人特定の材料にし、認証精度の向上を図るため、ニコーラルネットワークによる補正処理システムを本人認証の仕組みの中に導入した。前年度までに構築が完了済の触刺激に伴う生体反応の統合的観測システムを利用した触刺激の憶え易さ、読み取る情報の解釈のし易さ、および触刺激で表現される情報のバリエーションの広さは、事象関連脳電位や鼻部皮膚温による触刺激の嗜好評価等に関連する計測実験によって検討された。これらの計測実験の中での新たに見出された知見として、触刺激に伴う生体反応のうち身体動態において特徴的な動揺が解析的に特定され、この身体動揺の工学的な応用の可能性を検討したところで本研究課題は総括された。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)
IEEJ Trans. FM
巻: vol.131, no.4 ページ: 304-305
DOI:10.1541/ieejfms.131.304
Artificial Life and Robotics
巻: vol.16, no.2 ページ: 266-270
DOI10.1007/s10015-011-0966-0