研究概要 |
視覚障がい者に対し,失われた光の情報を最先端情報技術により提供する新しい環境認知方式について研究する.具体的には,視覚障がい者周囲の太陽を含む照明環境を測位衛星の一種と仮定し,歩行時の測位精度を格段に向上させる実時間環境光認知マップ(以下,オプティカルコンテキストマップ)の開発を目的とする. 平成23年度は,これまでの研究を総括し,さらに新たな魚眼レンズによる高精度測位方式の基本動作を確認した.以下,研究の進展状況を述べる.今年度までの研究は,特に可視光通信を利用した屋内測位精度の向上が特徴的である.すなわち,全体の開発状況を3段階に分類し,Step1:独自に開発した9chフォトセンサと慣性航法センサを組み合わせた屋内測位,Step2:フォトセンサと高精細魚眼カメラによる照明器具配置を利用した自己位置の特定,Step3:超高速CMOSイメージセンサ(2kfps)を魚眼カメラに組み込んだ新しい可視光センサによる屋内測位,である.それぞれの研究成果は,平成23年度電子情報通信学会総合大会で発表した.特に開発段階からの可視光計測に関する知見を生かし,段階的に改良を加え単一の魚眼カメラ型可視光受信器により環境光計測システムの評価・改良ならびに解析方式を検討した.また超高速イメージセンサを用いたことにより単一の可視光受信器のみで天井の照明器具画像の抽出と個々の照明器具から送信される位置情報の復号が同時に可能となった.これらの実験は,実際に新潟大学内に設置した可視光通信テストベッドに於いて蛍光灯及びLED照明を用いて実施した. 今後は,可視光受信器を小型化し屋内外を移動する際の音声歩行案内に応用する予定である.
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